アンチエイジングに役立つ抗酸化成分とは
アンチエイジング抗酸化成分




CONTENTS
サプリメント事典 人はどうして老化するのか 何によって老化は進むのか
活性酸素とアンチエイジング 抗酸化成分 デトックス
加圧トレーニング 水素によるアンチエイジング プラセンタ療法
最新美容アンチエイジング 脳の機能低下を防ぐには 耳の聴力低下を防ぐには
視力低下を防ぐには 脱毛を予防するには 歯の健康を保つには
肌の衰えを防ぐには 血管の老化を防ぐには 免疫力低下を防ぐには
骨の老化を防ぐには 性機能低下(ED)を防ぐには アンチエイジングメニュー



アンチエイジングに役立つ抗酸化作用のある成分とはどのようなものですか.。

 これまでも,活性酸素の酸化によるダメージは大きく,老化促進に大きな影響を与えているということは述べてきました。

 したがって,活性酸素のはたらきを抑える抗酸化食品やサプリメントを摂るよう心がけることが,アンチエイジングの基本と言えます。

 植物には,太陽の紫外線の影響によるフリーラジカルの発生から身を守るために,抗酸化色素を持っているものが多く,このような野菜や果物を努めて食べるよう心がけましょう。

 それではここで抗酸化食品として考えられるものを紹介していきたいと思います。



アンチエイジングに役立つ抗酸化成分

カロテノイド系色素

 
カロテノイドとは植物に含まれている赤,黄色,橙などの色素成分で,にんじんの橙色はβ−カロテンが含まれているためです。

 このカロテノイド系色素は現在約600種類ほど見つかっており,その中でもβ−カロテンは体内でビタミンAに変化し,効力を発揮します。

 このカロテノイド系の色素は優れた抗酸化作用を持ち,フリーラジカルを消去するスピードはビタミンEの数十倍にも及ぶと言われているほどです。 このカロテノイドは構造の違いから「カロテン類」と「キサントフィル類」に分けられます。
 
 「カロテン類」にはβ−カロテンやリコピンなどが,「キサントフィル類」にはルティン,アスタキサンチンなどがあり,いずれも脂溶性成分なので,油成分とともに摂取することで吸収率が高まります。

 



  ■ アンチエイジングに役立つ抗酸化成分 その1

  
   ●
ベータカロテン


 ベータカロテンはにんじんやほうれん草などの緑黄色野菜に多い成分で,必要に応じてビタミンAに変わります。

 最近までこのベータカロテンはビタミンAに変換されてはじめて効果があると考えられていましたが,近年の研究により,ビタミンAに変わる前のベータカロテン自体が強い抗酸化作用を発揮するということがわかりました。

 ベータカロテンは有害な活性酸素の発生をおさえるだけでなく,悪玉コレステロールとも呼ばれるLDL(低比重リポタンパク)の酸化も抑えることができます。

 さらに,免疫細胞の活性化作用や認知症の予防効果など多くの機能が報告されています。

 ビタミンAの過剰摂取は脱毛や筋肉痛,頭痛,吐き気などを起こすことがあり,妊娠初期の過剰摂取は,催奇形性をもたらす可能性があると言われています。

 ではビタミンAの前駆体であるベータカロテンならば,いくら摂取しても問題がないのかというと,そうとも言い切れないデータがあります。

 ヘルシンキ大学などが喫煙者約3万人を対象に行ったベータカロテンサプリメント摂取試験では,ベータカロテンを1日に20mg摂取したグループの方が肺がん発生率が,摂取しないグループに対して18%も上昇し,脳血管疾患の死亡率も20%高くなるという全く予想に反した結果がでてしまい,試験は途中で中止となりました。

 やはりアメリカで行われた13万人を超える試験でもビタミンEの過剰摂取は死亡率を高めるという結果が出ています。これはベータカロテンやビタミンEは体内に蓄積されやすいため,このような悪影響を及ぼしたのではないかと考えられています。

 ビタミンEやベータカロテン(ビタミンA)などは酸化される,すなわち活性酸素などに電子を渡してしまうと今度はそれ自体が電子を奪おうとするラジカルな物質に変化してしまい,しかも脂溶性のため,体内に蓄積されやすく,からだに害を及ぼすと考えられます。

 多くの研究者はこれらと共にビタミンCを摂取すれば,このようなことにはならなかったであろうと推測しています。それはビタミンCが酸化されたβ−カロテンやビタミンEに電子を渡し,その還元作用により,安定した状態にもどるからであり,しかも酸化されたビタミンCは水溶性のため,体外に排出されやすく,からだへの影響は少ないと考えられるからです。

 サプリメント摂取などで気をつけなければならない点は,このようにある特定のものだけ,大量に摂取するとかえって身体にダメージを与えてしまうということもあるということです。

 そこで,それらをバランスよく含んだ食品からの摂取が好ましいとも言えますが,サプリメントで摂取する場合,この様な弊害を避けるためにも,ベータカロテン,ビタミンEの摂取はビタミンCと併用すべきであると言えます。



ベータカロテンを豊富に含む食材
 
 
にんじん,カボチャ,ピーマン,青シソ,モロヘイヤ,明日葉,ほうれん草,ちんげん菜,さやえんどう,さやいんげん,青のり,ワカメなど







  ■ アンチエイジングに役立つ抗酸化成分 その2

  
   ●
リコピン

 「トマトが赤くなると医者が青くなる」というヨーロッパのことわざがありますが,リコピンはトマトをはじめ,赤や,橙,黄色の野菜に多く含まれる成分であり,カロテノイドの中でも特に強い抗酸化作用を示し,その効力はベータカロチンの2倍,ビタミンEの100倍もあると言われています。

 リコピンの優れた点はこのように強力な抗酸化作用だけでなく,抗がん作用もあると言われていることで,直腸に人工的にがんを発生させたラットの実験では,ベータカロテンはがん抑制効果は見られず,リコピンには強力ながん抑制作用がみられました。

 また,欧米での1万人程度を対象とした疫学調査の結果では,血中のリコピン含有率が少ないと,膵臓がん,膀胱がん,子宮頸がん,肝硬変などになりやすく,反対にトマトを豊富に食べると消化器系がんや前立腺がんになりにくいという報告があります。

 この他にも,リコピンには,LDLコレステロールの酸化を防ぎ,動脈硬化が原因で起こる高血圧,脳卒中,心臓病などの生活習慣病を予防するはたらきもあると言われています。

 リコピンの1日摂取量は15mgは必要とされており,トマトジュース一缶で20mg程度含まれているということなので,一缶で1日の必要量は摂取できることになります。

 また,リコピンには油に溶けやすい性質があり,油を使った調理法によって,吸収率が高まります。リコピンは熱に強いので,炒めたり煮込んだりしても成分がそれほど減少することはありません。

 生で食べるよりもオリーブオイルなどと一緒に調理するほうが,より効率よくリコピンをとることができます。市販のトマトピューレやトマトソースなどを使っても同様の効果があります。

 イタリア料理にはトマトとオリーブオイルを使ったメニューが数多くあり,その抗酸化作用により,がんや生活習慣病の予防にも役立つと言われています。

 サプリメントで摂取する場合は,食後に摂取したほうが,食物中の油成分によって吸収率が高まります。

 
 




  ■ アンチエイジングに役立つ抗酸化成分 その3

  
   ● ルティン

 ルティンはカロテノイドの1種ですが,体内でビタミンAに変換されないため,これまではその効能はあまり評価されませんでしたが,現在ではその抗酸化作用により,紫外線から目を守る重要なはたらきを持つ成分であることがわかっています。

 人間の目には黄斑という組織があります。これは網膜の中央部にあるもので,光に反応して,色や形を識別するという重要なはたらきを持つ視細胞が集まっているところです。

 この組織は紫外線などの影響により,酸化されやすく,加齢とともにこの組織が破壊されると,視力を失うこともあり,これを黄斑変性と言います。

 ルティンはこの黄斑部に多く存在し,目の組織の酸化を防ぐはたらきがあります。このルティンは加齢と共に減少していきますが,このルティンを補給することで黄斑変性を防ぎ,視力の低下を予防できます。

 またルティンは目の水晶体にも存在し,紫外線の影響から水晶体を守り,白内障の予防にも効果があるといわれています。

 ルティンは,目の他に,肌,血液,乳房,子宮などにあり,抗酸化作用で老化から組織を守っています。さらにルティンは皮膚がん,大腸がんに対する抑制効果もあるということがわかっています。

 ルティンをサプリメントで摂取する場合,1日あたり6mg〜12mg程度を摂取することが多いようですが,目の老化の病気である黄斑変性症に対しては,20mg摂取することもあります。

 ルティンは通常の食材に由来する成分であり,今のところ過剰症や副作用などは報告されていません。

ルティンを豊富に含む食材
 
ほうれん草,ブロッコリー,小松菜,芽キャベツ,からし菜,トウモロコシなど
 
 





  ■ アンチエイジングに役立つ抗酸化成分 その4


   ● アスタキサンチン

 アスタキサンチンは、「カロテノイド」と呼ばれる色素の一つで赤い色素であり,ヘマトコッカス藻に含まれるアスタキサンチンが「食物連鎖」によってサケ,イクラ,エビ,カニなどの魚介類の体に蓄えられるため,魚介類に多くふくまれることが特徴です。

 アスタキサンチンは,近年の研究により,これまでに紹介したベータカロテン,ルティン,リコピン,ビタミンEなどよりも強い抗酸化作用持ち,その抗酸化力はビタミンEの1000倍と言われ,自然界最強の抗酸化物質と言われています。

 それ以外の効能として抗炎症作用,免疫賦活作用,抗がん作用などが発見されています。

 具体的効能としては,血液中のLDLコレステロールの酸化を抑え,動脈硬化や心臓病などを予防するといわれています。
また,すでに血管に蓄積したコレステロールを除去するはたらきもあります。

 アスタキサンチンは,体内に取り込まれると一部がビタミンAに変わります。ビタミンAには,目の機能を正常に保つための重要な役割を担う働きがあります。 したがってルティンと同様に,目の黄斑部の抗酸化作用もあります。

 また,アスタキサンチンは血液脳関門も通過できるという特徴があり,脳でもその抗酸化力を発揮し,脳の老化によりおこる痴呆や脳卒中などの脳疾患を防ぐことができるのではないかと言われています。

 さらにアスタキサンチン
はヒスタミンによるかゆみや炎症を抑制する目的で、アメリカでは広く使われはじめています。

 アスタキサンチンは摂取する事により、主に全身の細胞の細胞膜に蓄積されます。細胞膜に蓄積されたアスタキサンチンはアレルギー症状の原因となるヒスタミンに取り付いてヒスタミンを無毒化する作用があります。

 アスタキサンチンはカロテノイド系の色素なので,現在のところ特に過剰症などの心配はないようです。魚介類では特にサケが多く,サケの切り身1枚には約1mgのアスタキサンチンが含まれていると言われています。

 このアスタキサンチンとリコピンの併用により,さらに強力な抗酸化作用が得られたとの報告があります。

 このアスタキサンチンの効能の発見はまだ新しく,サプリメントでの適切な用量は確立していませんが,表示された用法・用量は守ってください。

 






  ■ アンチエイジングに役立つ抗酸化成分 その5


   ●
β−クリプトキサンチン

 β−クリプトキサンチンは温州みかんのオレンジ色の色素に含まれる成分であり,カロテノイドの1種で,みかん1個に1〜2mg含まれています。

 柑橘類の中でもβ−クリプトキサンチンがこれだけ多く含まれているのはみかんだけです。

 β−クリプトキサンチンには皮膚がんや大腸がんの抑制効果があると動物実験で明らかになり,その抗がん効果が話題になりました。

 発がん性物質や活性酸素が正常な細胞を攻撃した時に,β−クリプトキサンチンが強力なバリアーの様に守ると考えられています。

 β−クリプトキサンチンの優れた点は,その成分を体内に蓄積でき,その効果が持続し,かつ過剰症の心配もないという点です。

 たとえば冬にみかんを1日2個程度食べておく程度でβクリプトキサンチンが皮膚に蓄積され,夏にも血液中に溶け出しその効果を発揮すると言われています。

 β−クリプトキサンチンはその効能が最近になって解明された新しい抗酸化物質ですが,上記に示したような抗がん効果だけでなく,心臓病や骨粗鬆症などにも効果があると言われています。

 





ポリフェノール類

 
ポリフェノールとは植物の色素や苦み成分のもとになっている成分で,複数の水酸基を持ち,その多くが抗酸化作用をもつことで知られ,約5000種類以上が確認されています。

 ポリフェノール類で代表的なものにはお茶のカテキンや大豆イソフラボン,赤色色素のアントシアニン,チョコレートに含まれるカカオマスポリフェノールなどがあります。

 ポリフェノールは,LDLの酸化を防ぐことで動脈硬化を予防する機能だけでなく,抗がん効果もあり,また,アレルギーの原因となる活性酸素の過剰な発生を抑えたり炎症を起こす物質が作られないようにするはたらきがあります。

 ポリフェノールの多くは水溶性部分で働きますが,一部では脂溶性部分でも働き,このポリフェノールの優れている点は,活性酸素の被害を受けやすい細胞膜上でも機能するという点です。



  ■ アンチエイジングに役立つ抗酸化成分 その6

  
    ● カテキン

 カテキンはお茶や紅茶の苦み成分で,ポリフェノールの1種です。緑茶のカテキンにはエピカテキン,エピガロカテキン,エピカテキンガレート,エピガロカテキンガレートの4種類がありますが,一般にはこれらをまとめて「カテキン」と呼んでいます。

 カテキンは抗酸化力が強く,ビタミンEの20倍と言われています。また,お茶を飲む習慣がある地方には胃がんが少ないという疫学的データもあります。

 このカテキンの中でもにエピガロカテキンガレートは,強力な抗酸化作用があり,細胞膜などにあるリン脂質の酸化を防ぐだけでなく,がんに対してはがん細胞の増殖を抑え,細胞を自滅させるアポトーシス誘導作用や,がん細胞の血管新生抑制作用などの抗腫瘍効果もあります。

 カテキンは血中コレステロール抑制作用や中性脂肪低下作用,動脈硬化に伴う心臓病抑制作用,糖尿病の予防効果や軽減作用もあります。

 近年,緑茶カテキンの抗肥満効果が報告されており,男女80名の肥満者を対象にした臨床試験では,1日あたり588mgのカテキンが12週間投与された結果,男性では内臓脂肪が,女性では皮下脂肪が減少したということです。

 カテキンはお茶を飲むことで手軽に摂取できますが,抹茶などのほうが,カテキンが多く,効率よく成分を吸収できます。

 ただ,緑茶にはカフェインがふくまれており,不眠や体質により胃腸障害などが見られることもあり,大量に飲むならカフェインをのぞいたお茶か,サプリメントで摂る方法がよいでしょう。

 




  ■ アンチエイジングに役立つ抗酸化成分 その7

  
    ●
アントシアニン

 アントシアニンはポリフェノールの1腫であり,ラズベリー,ブルーベリー,イチゴ,カシス,ぶどう,紫芋などに含まれる,青紫,赤,紫などの色素成分です。

 この色素は強い抗酸化力を持ち,目の機能回復に優れた成分です。第2次世界大戦中,イギリス空軍のパイロットが,「ブルーベリーを食べた後は,目がよく見える。」と話し,その効能が知られるようになりました。

 網膜の細胞内には,ロドプシンという色素体があり,光に反応して分解され,視神経に情報を伝えるという
はたらきがありますが,目を酷使したりすると,かすんだりして見えるのは,ロドプシンの合成が追いつかなくなるためです。

 アントシアニンはこのロドプシンの再合成を助けるだけでなく,目の水晶体の厚みを調節する毛様体筋の動きをよくします。このような効能を持っているため,アントシアニンは疲れ目や視力回復に優れた効果を発揮します。

 近年の研究により,網膜の中心部にある黄斑部が加齢と共に酸化され,視力を失う,黄斑変性症の予防にも役立つことがわかりました。

 フランスにおいて動物性脂肪の摂取量が多いにもかかわらず,動脈硬化が少なく,心臓病で亡くなる人も少ないという,いわゆる「フレンチパラドックス」と呼ばれる現象が見られるのは赤ワインに含まれるポリフェノールのプロアントシアニジンやアントシアニンの抗酸化作用によるものであると言われています。
 
 このようにアントシアニンは目の機能を回復させるだけでなく,肝臓の機能の回復や,高血圧や動脈硬化,心臓病の予防,さらには脳血管障害の予防にもその効果を発揮します。

 




  ■ アンチエイジングに役立つ抗酸化成分 その7

  
    ●
プロアントシアニジン
 
 プロアントシアニジンはカテキンが複数つらなる,強力な抗酸化力を発揮するポリフェノールの1種です。

 アントシアニンがブドウの果皮に多く含まれているのに対し,プロアントシアニジンはブドウの種子に多くふくまれ,赤ワインが抗酸化作用を持つと言われるのは,アントシアニンだけでなくこのプロアントシアニジンも含まれているからです。

 プロアントシアニジンを含むブドウ種子ポリフェノールはヨーロッパでは,血管の老化を防ぐ医薬品として認定されています。

 また,このプロアントシアニジンはフランス南西部に自生する「フランス海岸松」という松の樹皮成分にも含まれ,そのエキスは「フラバンジェノール」または「ピクノジェノール」と呼ばれています。

 このエキスにはプロアントシアニジンの他に抗菌作用を持つ,フェノール酸も含まれ,その二つの成分の相乗効果により,抗炎症作用,抗アレルギー作用,免疫力賦活作用,血流改善作用があります。

 このフランス海岸松樹皮エキスには,血管を拡張させる「一酸化窒素」の生成を促進させる作用があります。

 さらに静脈の血流不全のため,足がむくむ「慢性静脈不全」や生理痛をともなう「月経困難症」などの改善効果も見られます。

 このエキスに含まれるプロアントシアニジンの作用により,メラニン色素の合成を阻害し,シミを防ぐという美肌効果もあります。

 




  
ビタミン類


 

  ■ 
アンチエイジングに役立つ抗酸化ビタミン その1

 
 

   ● ビタミンC
アスコルビン酸 構造式

 ビタミンCはアスコルビン酸とも言われ,古くからその抗酸化力や重要性は指摘されていました。

 16世紀からはじまった大航海時代に多くの船乗りがビタミンC不足からコラーゲンが生成できず,血管がもろくなり,壊血病という出血性疾患にかかり,問題となりました。

 当時はビタミンCという物質は当然知られていませんでしたが,経験からレモンの果汁を樽に入れ,船に積むことで,この病気を防ぐことができたそうです。

 ビタミンCの優れた点はスーパーオキシドラジカルやヒドロキシラジカルなどの活性酸素をを除去できるだけでなく,酸化されたビタミンCは水溶性のため,体内に蓄積されず排出され,体に悪い影響を与えないという点です。

 さらにビタミンCは酸化されたビタミンEをもとにもどし,抗酸化力をよみがえらせるというはたらきもあります。

 体の中で最もビタミンCの濃度が高いのが水晶体であり,水晶体の酸化による白内障なども防いでいると考えられます。

 ビタミンCは皮膚や粘膜を丈夫にし,コラーゲンの生成を促進させ,肌にはりを持たせると共にメラニン色素の沈着を抑え,シミ,そばかすなども防ぐ,美容にも大切なビタミンです。

 このほかにも,鉄分の吸収を助けたり,高脂血症や高血圧改善作用,免疫力賦活作用,抗がん作用,抗アレルギー作用など,幅広い効能があります。

 このビタミンCは水溶性のため,細胞内ではたらくことはできず,摂取しても数時間後には体外に排出され,蓄積しておくことができません。一度に大量に摂取しても体内に取り込まれる量には限りがあります。 したがって何回にも分けて摂取することが大切です。

 ビタミンCの1日推奨量は100mgですが,ストレスを感じるだけでもたちまち消費されるため,抗酸化作用を考えるなら1日1000mgはほしいところです。

 


 

  ■ 
アンチエイジングに役立つ抗酸化ビタミン その2

 
    ●
ビタミンE

 
 ビタミンEはトコフェロールとトコトリエノールに分けられ,さらにそれぞれがα,β,γに分類されます。 一般的なビタミンEサプリメントはα−トコフェロールを主成分としています。

 ビタミンEは,若返りのビタミンとも言われ,すぐれた抗酸化作用を持っています。このビタミンEは脂溶性のため,細胞膜に存在し,活性酸素による酸化傷害から細胞を守ることができます。

 ビタミンEはその抗酸化力から動脈硬化の予防や改善に優れた効果を持っており,心臓病や,脳卒中を予防することができます。

 ビタミンEは血行を促進させる作用があり,肩こりや腰痛,手足の冷えやしもやけなどを解消する医薬品としても扱われています。

 また,前立腺がんや胃がんに対する予防効果も示唆するデータや,関節リューマチやパーキンソン病などに対する効果を示したデータもあります。

 これまでビタミンEは,過剰症はないと言われてきましたが,前述したように,体内に蓄積されるため,単独での過剰摂取は,寿命を縮めるというデータも示されており,適量を守ることと,ビタミンCやコエンザイムQ10などと共に摂取することで酸化されたビタミンEを還元することが大切です。

 このビタミンEはそのほかビタミンAやカロテン類の酸化を防ぐというはたらきをもっていますので,ビタミンA,C,Eを同時にとることは,効果的な摂取方法と言えます。

 ビタミンEはアーモンドなどのナッツ類,大豆油,ごま油などの植物油などの他,豆類,穀類,うなぎなどの魚類に多くにふくまれ,1日の所要量は成人男性子が7〜9mg,女性が7〜8mgとされていますが,活性酸素を除去するためには100mgは必要と考えられ,サプリメントでの摂取が望ましいでしょう。






 ■ 
アンチエイジングに役立つ抗酸化ビタミン その3


    ●
ビタミンB2

 
 ビタミンB2は水溶性で,熱に弱いという性質がありますが,過酸化脂質の分解を促進させるビタミンです。

 ビタミンB2は,皮膚や粘膜の健康を保つビタミンであり,また脂質の燃焼を助けます。したがってビタミンB2が不足すると脂肪がうまく燃焼できず,エネルギー不足となり,疲労感を感じるようになります。

 ビタミンB2は美容のビタミンとも呼ばれ,不足すると肌荒れ,にきび,口内炎などができやすくなります。

 ビタミンB2はリボフラビンと呼ばれ,体内では70〜90%が活性型B2のFAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)の形で存在します。

 活性型B2のFADは,過酸化脂質を分解するグルタチオンの酸化を還元してもとに戻す,グルタチオン還元酵素の補酵素になっています。

 したがってビタミンB2は過酸化脂質を分解し,動脈硬化を防ぐために必要なビタミンといわれています。
 
ビタミンB2の所要量は,成人男子で1.1〜1.6mg,女性では0.9〜1.2mgとされ,上限の規定はありません。

 ビタミンB2は納豆,レバー,卵,牛乳などに多く,ふくまれています。

 




  ■ 
アンチエイジングに役立つ抗酸化ビタミン様物質  その4


    ●
コエンザイムQ10
 

 コエンザイムQ10は,ビタミン様作用物質の一種で,ユビキノンという化学名をもっています。コエンザイムとは補酵素という意味で,人間以外の動植物にも存在し,Q6,Q7,Q8,Q9,Q10と5種類存在しますが,人間の体内に主に存在するのはQ10です。

 コエンザイムQ10は,ダイエットや肌のおとろえを回復するサプリメントととして一時期大ブレイクしました。

 コエンザイムQ10のはたらきは大きく分けては2つあります。ひとつは,細胞内ミトコンドリアにおいて,エネルギー産生の元になる「ATP(アデノシン三リン酸)」をつくるはたらきです。

 もうひとつは,細胞膜に存在し,その強力な抗酸化作用により,細胞を活性酸素による酸化から守り,細胞を老化から守るというはたらきです。 また,細胞のミトコンドリアに入っていける唯一の抗酸化物質でもります。

 このコエンザイムQ10は体内で生成されていますが,40歳を過ぎたころに急速に各器官の含有量が減ってしまいます。

 コエンザイムQ10の減少は,エネルギー不足になるだけでなく,肥満にもつながります。

 血液の中に高レベルのコエンザイムQ10を含んでいる人は細胞の代謝によるエネルギー産生が活発なため,食べても太らない人です。

 コエンザイムQ10の減少は,免疫機能の低下を招き,高血圧や歯周病の原因にもなります。 さらに新陳代謝がうまくいかなくなることで,しわやシミなどの肌のおとろえも見られるようになります。
 
 また,コエンザイムQ10は酸化されたビタミンEを還元するはたらきがあります。この機能はビタミンCにもありますが,脂溶性のコエンザイムQ10の方が,より強力です。
 
 コエンザイムQ10がもてはやされるのもこのように多機能なはたらきを持つ,若返りに寄与する物質であるからです。

 コエンザイムQ10が含まれている食品には,牛肉,豚肉,レバー,大豆,ほうれん草,ブロッコリー,サンマ,イワシなどに多く含まれています。

 ただし,通常の食事で摂取できる量は,1日5mg〜10mgと言われており,30mg以上はほしいところで,やはりサプリメントで補うことが望ましいと言えるでしょう。

 今のところコエンザイムQ10の過剰症は報告されていませんが,腹痛や下痢などの消化器の副作用も報告されています。

 また,サプリメントで摂取する場合,脂溶性なので,食後にとったほうが吸収率があがります。


 



  

 ■ 
アンチエイジングに役立つ抗酸化ビタミン様物質  その5

 
   ●
αリポ核酸
αリポ核酸はビタミン様物質として扱われる補酵素の一種です。

  最近話題になっている
αリポ酸ですが,「チオクト酸」ともよばれ,糖尿病の改善,極度の疲労の治療や肝臓障害の医薬品として,以前から使用されていました。

 2004年3月の「医薬品の範囲に関する基準の一部改正」で,食品として認可され,サプリメントとして販売されるようになりました。

 
αリポ核酸は体内で微量に産生され,ミトコンドリアがエネルギーを生み出すようはたらきかける酵素のはたらきを助けます。

 この
αリポ核酸の優れた点は強力な抗酸化作用であり,その抗酸化力はビタミンCの400倍にもおよぶと言われています。

 抗酸化物質にはビタミンCやピクノジュールなどの水溶性のものと,ビタミンA,E,コエンザイムQ10などのように脂溶性のものとがありますが,
αリポ酸は水溶性と脂溶性の両方の性質を持っているため,細胞膜,細胞内外にも散在でき,強力な抗酸化力を発揮します。

 さらに,ビタミンC,E,コエンザイムQ10などの,酸化した様々な抗酸化成分を再生したり,自らをも再生することができるという優れた特徴を持っています。

 また,ビタミンEやビタミンCが不足した時は,これまで以上に抗酸化作用を活性化させ,その作用を補うというはたらきがあります。

 多くの抗酸化物質が血液脳関門に阻まれ,脳に達することができませんが,
αリポ核酸はここをくぐり抜け,脳内で抗酸化作用を発揮し,脳細胞を活性化させるという報告もあります。

 
αリポ酸はブドウ糖の消費率を上昇させるため,糖尿病の予防効果や肥満の抑制効果も報告されています。 

 
αリポ核酸は食事から摂取できる量も少なく,年齢ともに分泌できる量も減っていきますので,サプリメントで補うことも必要です。

 サプリメントとして,利用されている期間が短いため,上限や副作用などのデータは不十分ですが,それだけに未知数の部分もあり,商品に示されている摂取目安量を守って服用することが大切です。

  


ミネラル類

 
 ビタミンが数種の化合物からできた有機物なのに対して,ミネラルは単一の元素からできています。私たち人間の身体に必要な三大栄養素は,タンパク質,脂質,糖質です。

 しかし身体が機能するためには,微量栄養素と呼ばれるビタミンとミネラルが必要です。

  ミネラルにはビタミン同様に,酵素の一部となって,体内での化学反応を助けるなど多くのはたらきがありますが,私たちはこの微量ミネラルの重要性を認識する必要があります。

 アンチエイジングに大敵なのは活性酸素ですが,この活性酸素を除去し,壊れた細胞を修復する酵素は,微量多種のミネラルを必要としています。 

 活性酸素除去酵素であるSODには,マンガン・銅・亜鉛が,過酸化水素を消去するカタラーゼには鉄が,おなじように過酸化水素を消去するグルタチオンペルオキシタ−ゼにはセレニウムが必要です。

 DNAの異常を修復し,がんの元となる変異細胞の発現を防ぐ,DNA修復酵素にも,マンガンと亜鉛が必要です。


 また,ミネラルはビタミンが機能するためにも必要です。ビタミンAが働くためには,カルシウム,マグネシウム,リン,セレニウム,亜鉛が
ビタミンEがはたらくためには,カルシウム,鉄,ナトリウム,カリウム,マンガン,亜鉛,セレニウム,リンなどの多くのミネラルが必要です。

 亜鉛,セレン,鉄,銅などのミネラルは免疫細胞産生,活性化に必要であり,これらが体内で不足すると十分な免疫細胞をつくることができません。

 しかし,いくらミネラルが体に必要だからといっても,ミネラル摂取はバランスが大切であり,過剰摂取は健康障害を起こすことがあり,注意しましょう。


  
 アンチエイジングに役立つミネラル その1

 
     ● 亜鉛
 
 亜鉛は体内で多くのはたらきを持つ,アンチエイジング対策に大変重要なミネラルです。上記に示したように,活性酸素除去酵素SODやDNA修復酵素をはじめ,200種類以上の酵素の働きに必要であり,さまざまな代謝の激しい組織ほど亜鉛不足の影響を受けます。
  
 亜鉛はすでに述べたように酵素の働きを助け,タンパク質の分解と合成に関わっています。すなわち古い細胞を分解して,新しい細胞を合成するという新陳代謝を促進させるはたらきがあります。

 アメリカでは亜鉛の重要性が早くから認識され,1日の所要量も成人男性が15mg,成人女性は12mgと定められていますが,日本で定められた所要量ははるかに少なく,成人男性で12mg,成人女性で9mgです。

 しかも,ある調査によると日本人の約8割が慢性的な不足になっているということです。この原因には,加工食品やインスタント食品などに,亜鉛の吸収を妨げる食品添加物が多く含まれるということや,野菜や穀物の育つ日本の土壌がミネラル不足になっていることが原因と考えられます。


 亜鉛はカキや牛肉,レバー,イワシなどに豊富にふくまれています。特に野菜中心の食生活をしている人は,亜鉛の摂取量が少ない上に,食物繊維が亜鉛を吸着して排出されるため,亜鉛不足になりやすいのです。

 では,亜鉛不足になるとどのような障害があらわれるのでしょうか。


亜鉛不足であらわれる障害

 
老化
 
前述したように,細胞の分解と合成に関わるのが亜鉛であり,人間の体は古い細胞が分解されない限り,新しい細胞は合成されません。また細胞分裂によって,あたらしい細胞をつくろうとしても,亜鉛が不足してはスムースに進みません。

 さらに,アンチエイジングに必要な成長ホルモンの分泌も衰え,活性酸素除去酵素SODも減少します。このような結果,老化が進み,肌があれたり,抜け毛が増えたりします。さらに,性欲減退や生理不順も見られます。

  味覚障害
 舌は細胞の新陳代謝が早く,多くの亜鉛を必要としています。舌の表面には味蕾という味覚細胞があり,この味覚細胞は寿命が短いため,常に新しい細胞に生まれ変わる必要がありますが,亜鉛が不足するとこの機能がいまくいかず,食べ物本来の味やにおいがわからなくなります。

 このため,食べ物がおいしく感じられず,食欲がなくなり,ますます亜鉛不足になるという悪循環に陥ってしまいます。

 ■ 免疫機能の低下
 胸腺では,免疫細胞であるTリンパ球がつくられていますが,亜鉛が不足すると,T細胞を作る部分が萎縮してしまい,十分な免疫細胞をつくることができなくなります。

 また,亜鉛は粘膜からのウイルスの進入を防いでいます。したがって亜鉛が不足すると粘膜からウィルスが侵入しやすくなり,風邪などにかかりやすくなります。 風邪の症状が出ても24時間以内にトローチタイプの亜鉛を使用することで,症状改善の効果が期待できます。

 このようにアンチエイジングだけでなく,多くの機能を持つ,亜鉛ですが,1日100mg以上を摂りすぎると,過剰症になり,頭痛,吐き気,下痢などを起こしやすくなるので,1日30mgの上限量は守りたいものです。
 

 亜鉛はクエン酸とビタミンCを共にとることで,吸収率が上がります。生ガキなどはレモン汁をかけた場合,血液中の亜鉛量はかけない場合のは2〜3倍であったという報告もあります。






  ■ 
アンチエイジングに役立つミネラル その2
   
     ●
セレン
 
 セレンは必須微量元素の一つであり,体内では抗酸化作用を持つ酵素を活性化させるという働きがあります。

 がん発生の原因ともなる活性酸素の中にヒドロキシラジカルがありますが,このヒドロキシラジカルの発生を防ぐには,グルタチオンペルオキシダーゼという酵素が働く必要があります。
 
 セレンはこのグルタチオンペルオキシダーゼの成分の一つであり,セレンが体内に十分あればこのグルタチオンペルオキシダーゼにより抗酸化作用を発揮することができます。

 セレンはその抗酸化作用から抗がん効果があると言われており,特に前立腺がんなどに効力を発揮するという報告があります。

 その他,心筋梗塞やリュウマチ,白内障,アルツハイマーなどはこのグルタチオンペルオキシダーゼが機能すれば予防できるという報告もあり,セレン摂取による効果が期待されています。

 セレンが不足すると免疫機能が落ち,感染症にかかりやすくなるほか,精子の奇形から不妊症になったり,シミやしわが増え,疲れやすくなるなどの症状が見られます。

 セレンの摂取推奨量は男性で30マイクログラム,女性では25マイクログラム程度です。

 セレンはアジ,やイワシなどの魚介類玄米,小麦,大豆などに含まれ,通常の食事で必要量は十分に摂取できます。